閻魔大王(えんまだいおう)はどんな神さま?
閻魔大王はどんな神さま?閻魔大王(円応寺蔵)出典:日本の神々辞典「嘘をつくと閻魔さまに舌を抜かれるよ」閻魔えんまさまといえば、子供の頃に聞かされた地獄の大王として、だれもが恐れる神さまです。冥界へと送り込まれてきた死者を尋問し、嘘をつこうものならたちまちに見破り地獄に落とします。神格地獄の主神冥界の総司地蔵菩薩の化身神徳・ご利益延命長寿災厄除け疾病除け別称獄主獄王死王閻王閻魔羅闍閻羅王ヤマラージャあなたの「金運」を強力に引き上げる祈祷師の護符死者を裁き救済する地獄の裁判官深川えんま堂の「閻魔大王」中国では、道教の冥界信仰とも融合し、冥府の十王(死者の罪を裁く十人の王)の一つ、「閻魔王」とされます。そのため閻魔王の図像は、「王」の冠を付け、道服を着て片手に笏を持ち、恐ろしい形相で坐しています。閻魔さまといえばこのイメージを思い浮かべるでしょう。日本では『十王経』等において地蔵菩薩と同一の存在と考えられ、地蔵菩薩の化身ともされました。鎌倉時代以降に浄土信仰が盛んになるにつれ、地獄の大王として閻魔に対する信仰が民間にまで普及していきます。密教では、十二天の一つ、南方の方位を守る護法神「閻魔天」として信仰されます。そのため閻魔天の図像は、温和な顔をした菩薩形で表されます。密教が流入された平安時代以降、日本の寺院ではこの閻魔天を本尊として「閻魔天供」という供養法が行われ、徐病、息災、延命、安産などを祈願しました。閻魔は古来、地蔵菩薩と表裏一体とされていました。平安初期の仏教説話集『日本霊異記』に「我は閻魔大王。汝が国に地蔵菩薩といふ是なり」とあります。地蔵が地獄で救いの手を差し伸べることから、閻魔は死者を救済する王として信仰されます。浄玻璃鏡で嘘を見抜く閻魔大王閻魔と地獄太夫図(河鍋暁斎)出典:Wikipedia「浄玻璃鏡」閻魔大王が嘘を見破れるのは、「浄玻璃鏡じょうはりのかがみ」と呼ばれる生前の姿を映し出す特殊な鏡のおかげ。この鏡には死者の生前のすべてが映し出されるため、いかなる隠し事もできないもの。主に生前に犯した罪の様子がはっきりと映し出されます。映し出されるのは死者自身の人生だけでなく、その人生が他人にどのような影響を及ぼしたか、また他人からどんな風に思われていたのかまで視ることができるそうです。鏡は死者を罰するためではなく、死者自身に罪を見せることで最後の最後に反省を促すためとも考えられます。エンマ大王はどうして舌を抜くのか?出典:「十輪院」「嘘をつく者は死後の世界で地獄に落ち、閻魔大王に舌を引き抜かれる」。これは、二度とつけなくなるという嘘つきへの戒めです。でも、閻魔大王自身が舌を抜くわけではありません。閻魔大王は裁判官として、その人の死ぬまでの行いにより、六道のうちのどこに行くかという判決を言い渡すだけ。「嘘をつくと閻魔さまに舌を抜かれる」が浸透しすぎた結果ですね。舌を抜かれるのは閻魔大王の裁判が終った後、地獄に落ちてからです。嘘つきの罪を犯した死者は、大叫喚地獄で獄卒オニによって真っ赤に熱した鉄の金ばさみで舌を抜かれます。ちなみに「悪口」を言っても同じことをされるようなので気をつけましょう。閻魔大王のルーツはインド神話の神「ヤマ」ヤマ出典:Wikipedia「ヤマ (インド神話)」閻魔とは梵語のヤマの漢音訳です。起源はインド神話の太陽神「ヴィヴァスヴァット」の子「ヤマ」とされます。ヤマはインド最古の宗教文献『リグ・ヴェータ』に登場する神さま。人類最初の死者であり、最初に死の道を発見し、死者の王シンジェとして最高天にある楽園に君臨します。当時の来世観は死んだ後、ヤマの世界へ向かい、祖先と共に享楽することを理想としていました。後に来世観の変化に伴い、その領土は地下に変わり、ヤマも死の神、悪業の懲罰者というイメージに変化していきます。のちに死者の生前の行為にしたがって善悪の審判を行う神、地獄の王として仏教に取り入れられ、インドから中国、そして日本に伝わり閻魔大王として祀られます。閻魔大王を祀る寺社深川ゑんま堂東京都江東区深川2-16-3太宗寺東京都新宿区新宿2-9-2善養寺東京都豊島区西巣鴨4-8-25華徳院東京都杉並区松ノ木3-32-11新居山圓應寺神奈川県鎌倉市山ノ内1543 閻魔堂新潟県柏崎市東本町2-7-40善光寺長野県長野市大字長野元善町491-イ引接寺京都府京都市上京区閻魔前町34白毫寺奈良県奈良市白毫寺町392天祥寺岡山県倉敷市児島阿津1-14-5海元寺福岡県福岡市博多区中呉服町10-5福巌寺大分県宇佐市院内町二日市358-2かつてはお正月とお盆(旧暦 1月16日・7月16日)に「藪入り」といって、奉行人たちが休みをもらえる風習がありました。これは閻魔さまの縁日にあたり、地獄の釜が開く日とされ、人々は各地の閻魔堂にお参りしたとされます。
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