出典:伊斯許理度売命(Art Mochida Daisuke)
イシコリドメ命は鏡造りの女神。作鏡連(かがみづくりのむらじ)らの祖神とされ、指物工芸の守護神としても崇敬されています。三種の神器の一つ「八咫鏡」を造り、神社の御神体とされる鏡のルーツとされる神さまです。
古事記 |
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伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト) |
日本書紀 |
石凝姥命(イシコリドメノミコト) |
別称 |
鏡作神 |
金属加工の神 | 鍛冶の神 | 鏡の神 |
鉄鋼・金物業の守護 | 産業開発 | 延命長寿 |
技術向上 |
親神 | 天糠戸(あめのぬかど) |
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出典:八咫鏡(イメージ)「大型内行花文鏡」
天岩戸神話では、岩戸に隠れたアマテラス大神を外へ誘い出すために、高天原の総司令オモイカネ命は多くの神に指示をだします。イシコリドメ命には「天の安河の川上にある岩と鉱山の鉄で鏡を造りなさい」と伝えます。
準備が整い、アメノウズメ命が岩戸の前で踊ります。すると、高天原が鳴り轟くように八百万の神々が笑い出します。
これを聞いたアマテラス大神は不思議に思い、岩戸の扉を少し開けて「私が岩戸に篭り世界は闇になっているのに、どうしてアメノウズメ命は楽しそうに舞い、八百万の神は笑っているのか」と聞きます。
アメノウズメ命は「貴方様より貴い神が表れたので、皆喜んでいるのです」というと、イシコリドメ命が作った鏡をアマテラス大神の前にかざします。
鏡に写る自分の姿をその貴い神と思ったアマテラス大神は、その姿をもっとよくみようと岩戸をさらに開けると、隠れていたアメノタヂカラオ命がその手を取って岩戸の外へ引っ張り出し世界に光が戻ります。
その後、鏡は天孫降臨の際に「私の御魂として私自身を崇めるように祀れ」とニニギ尊に託されます。アメノコヤネ命、フトダマ命、アメノウズメ命、タマノオヤ命と共にイシコリドメ命も五伴緒の1人としてニニギに随伴します。
八咫鏡はその後、五十鈴宮に祀られたとされます。
ちなみに八咫鏡に先立って造られた鏡とされる日像鏡(ひがたのかがみ)は日前神宮のご神体、日矛鏡(ひぼこのかがみ)は國懸神宮の神体とされています。
神社の御神体とされる鏡。イシコリドメ命はその鏡のルーツとされる神さまです。
鏡は日の神の寄り代であり、農耕祭祀における非常に重要な祭具でした。中国では古くから銅鏡は悪霊を退ける力があると考えられ、古墳時代の日本でもそうした信仰があったされます。大型古墳から出土する銅鏡の殆どは宗教祭祀に使われていました。
銅鏡や銅矛は青銅器時代のもので、やがて大陸から製鉄技術が伝わると鉄器にとってかわられていくこといなります。つまり、イシコリドメ命はもともと青銅器の神で、鉄の普及とともに登場した他の鍛冶や金属加工の神々より、さらに古い神とも考えられます。
名前の「石凝」は、石を材料とした鋳型に溶鉄を流し込み、凝固させて鏡をつくるという作業から連想されます。このことから銅鏡、銅矛の製造を職業とした金工の祖先神と考えられています。
イシコリドメ命は天香具山でとれた金を用いて「日矛(ひぼこ)」を作ったともされます。日矛というのは太陽神の寄り代としても用いられる祭具です。
神聖な祭具を作り出す金工の技能は、霊妙な神の力を感じます。そうした職能の霊的な力を神格化したのがイシコリドメ命とされます。
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