箱根山(神山)
霊峰富士にほど近く、中央火口丘とそれを取り囲む外輪山からなり、その内に芦ノ湖をたたえた箱根山。
日本有数の景観を誇る箱根の最高峰の神山(1,438m)は、古代より山岳信仰の場であり、神山を遥拝できる駒ケ岳の山頂を磐境として祭祀が行われていました。
南にはロープウェイが通じている駒ヶ岳が頂を結び、駒ヶ岳山頂には箱根神社元宮が鎮座。そこには元宮らしく、古代の祭場であったことを示す磐座が残されています。
社伝によれば、紀元前の人皇・第五代孝昭天皇の御代、聖占上人が駒ヶ岳にて神山を神体山として祀ったと伝えられています。
奈良時代に諸国の社寺伝説に名を残す謎多き僧「万巻上人」は、朝廷の命を受け、箱根山の山岳信仰を束ねる目的で入山します。
3年ほど経ったある日、相模国大早河上湖池水辺で修行していると、万巻のもとに三人の異形の者が現れます。
「我等三人はこの山の主なり。三人ともにここに住まい、有情と結縁し、成仏せしめたい」
万巻上人はそれに応え、現在の境内地に里宮を創建し、感得した法体である僧形神・俗体である男神・女体である女神の三神を箱根三所権現として祀ったといいます。
法躰は三世覚母の文殊菩薩の垂迹
俗躰は当来導師の弥勒菩薩の垂迹
女躰は施無畏者の観世音菩薩の垂迹
また、伝承によると、万巻は神託から箱根権現を祀る社殿(現在の箱根神社)を建立。さらに人々を悩ませていた芦ノ湖にすまう毒龍(九頭龍)を鎮め、龍を祀る九頭龍神社を建立したとされます。
箱根三所権現は先行する神山と駒ヶ岳の神である能善権現・駒形権現とも異なり、特定の山に依拠する神ではないようです。
中世の縁起には、三所権現はインドのとある国から飛来したある国の大臣、大臣の娘、娘の夫の3人。毒龍は大臣の後妻とされます。
後妻は先妻の娘がいつまでも美しいことを妬み、大臣の留守中に娘をいじめ、命まで奪おうとします。それを別の国の王子が助け結婚します。
大臣は娘夫婦と三人で暮らすことを決意。しかし、それを知った後妻は大蛇に化け、三人を襲おうとします。
三人は日本へ逃げ、僧形、宰官、女性、の姿をした箱根三所権現となり、後妻は大蛇に姿を変え日本まで追ってきます。そして芦ノ湖で毒龍となって暴れるのです。
原像はインド由来ですが、現在祀られている三柱の祭神は、記紀神話由来の親子神「瓊瓊杵尊、木花咲耶姫命、彦火火出見尊」となっています。
平安時代末には、石橋山の合戦に敗れた源頼朝を当社別当が助けたことから、箱根権現は以後、東国の武家から守護神として崇められるようになります。
さらに江戸時代になると、東西交通の要に位置することから道中の安全祈願所となり、箱根権現は一層篤い信仰を受けます。
明治維新の神仏分離令による廃仏毀釈により、修験道に基づく箱根三所権現は箱根神社へと改称されます。
箱根神社 | 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80-1 |
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