かつて満行という人物がいました。中世の縁起によると、満行は無実の罪で流罪となります。3年経ち、もはや赦免はあるまいと嘆き、榛名の池に身を投げます。
するとたちまち大蛇に変じ、都の内裏へ向かいます。五月雨の御遊の最中の内裏で。満行は雷神となり帝に祟りをもたらします。
祟を鎮めるために関白に呼ばれた横川の僧正が祈祷すると、満行は化身を表し恨みのほどを述べます。満行を大権現と祀り、五百町の社領に寺領を加え、宮を建立することを約束すると、たちまち帝の病は回復します。
さながら天神菅原道真を思わせる話ですが、雷神は農民にとっては恵みの雨をもたらす豊穣の神。事実、満行権現は雨乞いに霊験あらたかな神として崇められています。
榛名山
榛名山(はるなさん)は、群馬県にある上毛三山の一つ。古来山岳信仰を受けてきた山です。
弘法大師(空海)が杖を刺して井戸を掘ったという民話や、榛名神社が諏訪神社から井戸を通して食器を借りたという民話。
巨人だいだらぼっちが、富士山、浅間山、榛名山を競争で作り、あと一息というところで富士山のだいだらぼっちが勝ったという民話など豊富で、山岳信仰が盛んだったことをうかがわせます。
榛名神社
榛名神社 | 群馬県高崎市榛名山町849 |
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榛名神社の御影札には、社名を包み込むようにそそり立つ奇岩が描かれています。御姿岩、あるいは御神体岩と呼ばれているものです。
山中の奇岩や巨岩は、しばしば神が降臨し鎮まる磐座として聖視されていますが、御影の図案に御神体そのものを描かれるのは少ない。
榛名山の中腹、参道を進み境内に入ると、まさに御影と同じ姿の奇岩が立っており、その内部に嵌め込まれるようにして本殿が建っています。
現在の祭神名「火産霊神・埴山毘売命」が書かれていますが、昔は「素戔嗚尊・奇稲田姫」と書かれたものもあったとされます。
また、神仏分離以前のお札は、同じ図案に「将軍地蔵、不動明王、毘沙門天」の本地仏が描かれたものが一般的でした。
対応する垂迹神は「埴安神、国常立命、大己貴神」『文化11年の文書』であったり、「元湯彦命、饒速日尊、熟真道命」『榛名山志より』であったりと一致しません。
はっきりしているのは、明治以前、この神は一般に「満行大権現(ぎょうだいごんげん)」と呼ばれていたことです。
次回の満月(新月)は2024年12月1日(日)
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