出典:天之手力男命(Art Mochida Daisuke)
「天上界でもっとも手の力が強い男」という名前を持つ神さまです。天岩戸の扉を開けてアマテラス大神の手を引いて導き出し、この世に太陽の光を復活させます。力強くたくましい姿に昔から人気があり、日本各地の神楽で登場します。力と技芸の神格を持つことから「スポーツ上達」や「技芸上達」のご利益があります。
古事記 |
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天手力男命 |
日本書紀 |
天手力雄命 |
別称 |
多久豆魂命(おおくずたまのみこと、たくづたまのみこと) |
力の神 | 技芸の神 |
技芸上達 | 五穀豊穣 | スポーツ上達 |
開運招福 | 災難・厄除け |
父神 | 神穂魂命 |
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子神 |
天御食持命 |
出典:天手力男命「八百万の神カード」
強力な引き締まった肉体をもちたいという願望は、永遠に人間が持ち続ける夢です。それを表現しているのがスーパーマンやアニメのキャラクターであり、アメノタヂカラオはそうしたあこがれが反映されています。
神話の中では怪力のイメージばかりが先行しますが、この神さまは一般的にスポーツの守護神としても信仰を集めています。筋力を鍛え、それを生かす技術を含めた力を与えてくれる神さまです。
剛力のイメージをもつアメノタヂカラオ命は、昔から庶民に人気があり、日本の各地に伝わる神楽のなかにこの神さまの姿を見ることができます。
たとえば、全国的にも有名な宮崎県高千穂町の夜神楽には、アメノタヂカラオ命が主役となって舞う「戸取舞(ととりのまい)」という演目があり、神話にもとづいた力感的で雄壮な舞に人気があります。
アメノタヂカラオ命は、アマテラス大神を天岩戸から引き出した功績にちなんで、伊勢神宮の内宮の相殿に祀られています。
『古事記』によると、天孫降臨の際に諸神と共に地上に降り、佐那那県(さなながた)に住んだと言われます。また、アメノタヂカラオ命を祀ることで有名な長野県上水内郡の戸隠神社には、この神の強烈な力を示す伝承があります。
それによると、天岩戸の扉を開けたアメノタヂカラオ命はその扉を「エイっ」と放り投げると、ものすごい地響きをたてて地上に落下して戸隠山になったといわれます。
それで「ここが私の住むところである」と決め、天孫降臨に随伴して九州に降りると、紀伊(和歌山県)を経て戸隠にやってきて定住してとされます。
また、この神さまは富山県の立山信仰の神さまとしても祀られています。
江戸時代の図書百科事典の『和漢三才図会』によると、立山山頂に鎮座する峰の本社の本尊は、阿弥陀如来と不動明王であるとし、そのまたの姿(垂迹したかたち)がそれぞれイザナミ命とアメノタヂカラオ命であると述べられています。
立山は昔から神の住む山と信じられてきた山で、そこには立山権現とも呼ばれる雄山神社が祀られています。同様に戸隠神社も山岳信仰に発する神社で、中世以降の修験の道場だったところとされます。
以上のことからアメノタヂカラオが山岳信仰の発する、いわゆる霊山と呼ばれる場所と深く密接している性格を持っていることがうかがえます。
日本には、古くから山中他界の観念があり、のちに仏教の地獄思想が結びついて、平安時代以降の山岳信仰が形成されます。
そのなかで、人々に霊山として神聖視されてきた山岳は、地獄と浄土の堺、つまり異界との境界領域とも言えるミステリーゾーンと考えられていました。
本来、神霊の宿る場所であり、しかも異界とこの世の出入り口といえば、アメノタヂカラオ命が怪力によって引き開けた天岩戸を思い浮かべることは容易です。
その事跡を重ね合わせて考えれば、この神は異界との境界にあって、この世に幸福をもたらす神さまであると考えることもできます。
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