名称 |
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役小角(えんのおづぬ) |
修験道の神 | 悪霊を祓う神 | 足の守護神 |
縁結び | 祈雨 | 止雨 |
病気平癒 | 安産 | 悪霊祓除 |
商売繁盛 | 心願成就 |
出典:前鬼・後鬼を従えた役小角「葛飾北斎」
役行者は、大和国(奈良県)葛城山に住む山岳修行者え、呪術を使い、前鬼と後鬼という鬼神の夫婦(もとは人間で役行者の修行を邪魔しようとして逆に呪術をかけられて捕まり弟子になったとされる)を薪割りや水汲みに使役し、言うことを聞かないときには、術をかけて自由がきかないようにすることができたという。
これは『続日本紀』のなかに伝聞として紹介されている姿ですが、呪術によって鬼を支配する力は超人的です。また一説には日本中の天狗を支配したともされています。
役行者の本名は「役小角」といい、7~8世紀に活躍した伝説的な人物で、日本の山岳宗教・修験道の開祖と崇められています。役行者が開山したと伝わる山は、葛城山、金峯山、大峰山、英彦山、羽黒山、石槌山、富士山、愛宕山など日本各地に数多くあります。これらの山はだいたい修験の山で、役行者のお堂や像が建てられている。
役行者に関する伝説は数多くありますが、『続日本紀』や『日本霊異記』に記される姿を追ってみます。
葛城山に住み、長年修行を重ねた役行者は、孔雀教の呪法(孔雀明王を本尊とする真言密教の祈禱法の一つ。あらゆる悪病、毒悪、災害、災厄を除くとされる)を修得して神通力を身につけた。呪術者としての評判が世に広まったとき、その能力を妬んだ弟子の韓国連広足(からくにのみらじひろたり)が「妖術によって民衆を惑わしている」と朝廷に虚偽の訴えをしたことから、捕らわれて伊豆大島へ流罪となります。
流人生活中の小角は、昼はおとなしく修行をしていたが、夜になると海上を陸のように歩き、空を飛んでは富士山に出かけて修行し、朝方に戻るという生活をしていました。そして三年後に許されて京都の近くに戻りますが、やがて仙人となって何処ともなく飛び去ったとされます。
出典:役行者像「キンベル美術館」
こうした伝承をたどってみると、仏教があり、山岳信仰や仙思想、さらに呪術宗教的な道教や陰陽師など、主に渡来宗教が重層的に習合していることがうかがえます。そこから、役行者は奈良時代から平安時代にかけて進んだ神仏習合の先駆者と考えられます。また、神秘的な神通力を駆使する呪術者としては、外来の呪術を積極的に取り入れ活用した、新しいタイプのシャーマンだったともされる。
そうした新しさが数々の伝説を生み、神秘性を高めて人気となります。役行者の名を民衆の間に広めたのが、密教の発展とともに活躍した修験者たちです。彼らが役行者を修験道の開祖と崇めて神格化したとされます。それにともない「小角」という本名ではなく「役行者」という呼称も定着した。
民間伝承に現れる役行者は、偉大な呪術者としての性格が強く、呪術を駆使して鬼を支配するという話は特に印象的です。鬼とは人の心をむしばみ、病気や災難などあらゆる災厄をもたらす悪霊。そうしたものを神通力によって制圧することができるということが、役行者に対する信仰の中心になっている。
『日本霊異記』に記されている役行者が修得したとされている孔雀経の呪法とは、毒蛇を食う孔雀の力を神格化した「孔雀明王経法」にもとづくもので、これを行えば、天変、祈雨、止雨、病気、安産などに効験があるとされる。役行者のご利益もこうした要素に順じたものであるとされます。基本的な神徳は悪霊祓除ですが、足の守護神としての信仰もあります。
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