アメノハヅチオノ神は、機織りの祖神として信仰されている神さまです。名前の「羽」は、動物の身を覆うものという意味から布帛ふはく(木綿や絹織物)を表し、ツチのチは威力をを意味し、ハツチで着物の神であることを表しています。
古語拾遺 |
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天羽槌雄神 |
日本書紀 |
建葉槌命(たけはずちのみこと) |
別称 |
天羽雷命(あめのはづちのみこと) |
織物の神 | 機織りの祖神 |
織物業守護 | 商売繁盛 | 産業開発 |
安産 |
『古語拾遺』の天岩戸神話には、岩戸にお隠れになった天照大御神のために、男女の機織り神がとても美しい織物を奉納したことが記されています。
「天羽槌雄神(倭文しとりの遠祖なり)をして文布しずを織らしめ、天棚機姫神あめのたなばたひめのかみをして神衣かむみそを織らしむ」とあります。
このときアメノハヅチオノ神が織ったのは、倭文(しず)の「綾織り」というもの。
倭文とは、古代の織物の一種である「倭文織(しずおり)」の事で、麻や楮(こうぞ)などを材料にして布を織る際に、横糸を青や赤い色に染めてから乱れ織りにしたものです。
美しい織物は古代において、神さまを祀るときの供え物の中で最高品の一つでした。そういう貴重な織物を生み出す機織りを司るのがアメノハヅチオノ神とされます。
アメノハヅチオ命は、別名倭文神(しずのかみ)とも呼ばれています。この神を織物業の祖神として祀っているのが、鳥取県の倭文神社(しとり)です。
社伝によるとはるか昔にこの地方には、織物を生業とする倭文族が住んでいたそうです。その倭文族が祀った神さまが倭文神(しずのかみ)の始まりとされています。
その他にも、倭文織の産地を裏付けるものとして、『続日本紀』に「諸国の神への供え物のうち、倭文は常陸国ひたちのくに(茨城県)から奉納される」と記されています。
当時、常陸国周辺の特産として倭文織物が有名だったことがわかります。現在、茨城県那珂郡(なか)瓜連(うりづら)町に織物業者の信仰を集める静神社(しず)があり、その祭神がアメノハヅチオ命です。別名の倭文神としても織物の産地に祀られています。
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