天若日子(Art Mochida Daisuke)
高天原に住むアマツクニタマ神の子。名前は「天上の若い男児」を表し、眉目秀麗な美青年として語られる神さまです。シモテルヒメ命との恋に溺れて使命を放棄し、野望を抱いたが故に死を招くという悲劇的な神。
名称 |
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天稚彦命 |
穀物神 |
産業振興 | 農業守護 | 厄除け |
芸能上達 |
父神 | 天津国玉神(アマツクニタマ) |
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妻神 | 下照姫(シタテルヒメ) |
対神 | 味耜高彦根命(アヂスキタカヒコネ) |
『古事記』の国譲り神話では、アメノワカヒコ命は二番目の使者として地上に派遣されます。神聖な「天真鹿児弓」と「天羽羽矢」を授かり、地上に降りたアメノワカヒコ命は、国譲りの説得をするためオオクニヌシ命のところへいきます。
ところが相手のオオクニヌシ命に心酔し、使命を放棄してしまいます。
さらにオオクニヌシ命の娘のシタテルヒメ命と結婚することで後継者となるべく野心を抱き、八年間も高天原に報告しませんでした。
疑いを抱いたアマテラス大神は雉の鳴女を使者として送ると、アメノワカヒコ命はそのキジを神聖な弓矢で射殺してしまいます。矢はそのまま高天原にいるアマテラス大神とタカミムスビ神のところへ飛んでいき、殺害行為が発覚します。
その矢を持ったタカミムスビ神は「本当に反逆の心があるなら、この矢が必ず災いを与えるだろう」といって地上に投げ返すと、寝ていたアメノワカヒコ命の胸を射抜き死んでしまいます。
アメノワカヒコ命が死んだ後、雁(がん)、鷺(さぎ)、カワセミ、雀、雉(きじ)などの鳥たちが葬列の諸役を務めて葬式が行われます。そこにアメノワカヒコ命の友人であるアジスキタカヒコネ命が天より弔問に訪れます。
このアジスキタカヒコネ命が死んだアメノワカヒコ命にあまりにも似ていたので、シタテルヒメ命や父神が生き返ったと喜びます。しかし、死者と間違われたことに腹を立てたアジスキタカヒコネ命は、喪屋を剣で切り倒し、蹴り飛ばして壊し、天に飛び去ったとされます。
このよく似た二神の関係は、穀霊の異なる状態(生と死)を象徴しているものと考えられます。一方が死に、もう一方が同じ姿で復活するという関係です。そこには秋に死んだ穀霊が春に新しい命を宿して再生するという、古くからの農民の信仰が反映されています。
シモテルヒメ命との恋に溺れて使命を放棄し、美青年の神が野望を抱いたが故に死を招くという悲劇性が人々に好まれたせいか、様々な物語に登場し人気があります。
平安時代の『宇津保物語(うつほものがたり)』や『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』、『狭衣物語(さごろもものがたり)』などに天若御子の名で登場。その姿は、天から降りてくる音楽の上手な美男子として、魅力的に描かれています。
室町時代の『御伽草子』のなかの一編である『天稚彦物語』では、長者の娘の前に「わたしは海龍王の息子である」といって現れ、お互いに惹かれ合い契を結びます。
しかし、父親に1年に一度しか会うことを許されず、二人はそれぞれ「彦星」と「織姫星」となり、毎年一度、七夕の夜だけに会えるようになったとされます。
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