𧏛貝比売(キサガイヒメ)と蛤貝比売(ウムガイヒメ)

キサガイヒメ

𧏛貝比売

ウムガイヒメ

蛤貝比売

出典:𧏛貝比売・蛤貝比売(Art Mochida Daisuke

𧏛貝比売と蛤貝比売とは?

キサガイヒメは赤貝、ウムギヒメははまぐりの神様。『古事記』では、神産巣日より遣わされ大国主を治療し生き返らせます。二柱一対とされる女神です。

 

名称

古事記

𧏛貝比売(きさかひひめ)
蛤貝比売(うむかひひめ / うむぎひひめ)

出雲風土記

支(枳)佐加比売命(きさかひめのみこと)
宇武賀比売命(うむかひめのみこと)

別称 宇武加比比賣命(うむかいひめのみこと)

神格

蘇生の神 母性の神 治療の神

ご利益

病気平癒 健康・長寿 怪我(火傷)
農耕守護

キサガイヒメの関連神

出雲風土記

親神:神産巣日
御子神:佐太大神※サルタヒコと同一神とみられる

 

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大国主を蘇生した貝の女神

大国主を治療するキサガイヒメとウムギヒメ

出典:岐佐神社

 

『古事記』では、大国主(オオナムチ)を蘇生する場面に登場します。

 

因幡の白兎が予言した通り、大国主は稲羽の女神ヤガミヒメと結婚しますが、嫉妬に狂った兄の八十神達は大国主の殺害を企てます。

 

八十神達は大国主に「イノシシを追い立てるから捕まえろ」と偽り、焼いた大岩を山の上から転がし落とし、これを大国主は正面から受け止め死んでしまいます。

 

大国主の母サシクニワカヒメは亡骸を見て悲しみに暮れ、高天原の神産巣日に泣きながら助けを求めました。カミムスビは承諾し、キサガイヒメとウムギヒメを遣わします。

 

キサガイヒメがきさげ集め、ウムガイヒメがおも乳汁ちしるを塗り治療すると、大国主は蘇生し、火傷も治り元通りの姿に戻ります。

 

この二柱の治療は、焼いた赤貝の殻を粉末にし、母乳のような蛤の白い汁で溶いたものだとされます。

 

ハマグリの汁は実際に薬として利用されていたことは、『和名抄』という平安時代の辞書に「海蛤ウムキノカヒ」も見られることから、古くから民間療法とされていたようです。

 

母乳は生命力や回復力を表し、「ウム」は「母」に通じることから、「母乳で生き返る」というイメージが連想されますね。

 

出雲風土記では別々に登場し、ともに神魂命の御子神とされる以外の関連性は記されていません。

 

キサガイヒメは加賀の神埼で佐太大神(佐太神社の祭神で、当社では猿田彦としている)を産み、ウムガイヒメは法吉鳥(ウグイス)と化して法吉郷(島根県松江市法吉町周辺)へ飛来し、その地に鎮座したと記されます。

キサガイヒメとウムギヒメを祀る神社

岐佐神社

静岡県浜松市西区舞阪町舞阪1973
キサガイヒメ・ウムギヒメ
※オオクニヌシの命を奪ったとされる赤石もまつられる

出雲大社(摂社天前社)

島根県出雲市大社町杵築東195
キサガイヒメ・ウムギヒメ

加賀神社

島根県松江市島根町加賀1490
キサガイヒメ

法吉神社

島根県松江市法吉町582
ウムギヒメ

大江神社

鳥取県八頭郡八頭町橋本734
ウムギヒメ

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