出典:豊玉姫(Art Mochida Daisuke)
竜宮に住む海神の娘。姿形の見目麗しい女性を表す神名を持つ美しい女神ですが、真の姿は八尋の大和邇。釣り針を探しに来た山幸彦(火遠理命)と出会い結婚。様々な伝承や民話のモチーフとなり、浦島太郎の乙姫のモデルとして有名。縁結びや子宝、安産守護のご利益があります。
古事記 |
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豊玉毘売(トヨタマヒメ) |
日本書紀 |
豊玉姫(トヨタマヒメ) |
別称 |
和多都弥豊玉比売命(ワタヅミトヨタマヒメノミコト) |
水の神 | 聖母神 | 福の神 |
祈雨の神 | 鰐神 | 龍神 |
真珠の神 | 巫女神 |
金運向上 | 産業振興 | 商売繁盛 |
家内安全 | 芸能上達 | 五穀豊穣 |
諸願成就 | 交通安全 |
父神 | 海神(ワタツミ) |
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妹神 | 玉依姫(タマヨリヒメ) |
夫神 | 火遠理命(ホオリノミコト) |
子神 | 彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊(ウガヤフキアエズ) |
出典:火折尊と豊玉姫「Evelyn Paul」
兄の釣り針をなくした山幸彦(火折尊)が、塩土の神に導かれ龍宮へたどり着きます。門の近くにある桂の木に登り様子を見ていると、豊玉姫の侍女が玉器を持ち水を汲みにやってきます。
木の上にいる山幸彦に気づいた侍女は、玉器に水を汲み差し出します。しかし、山幸彦は水を飲まずに、首飾りの玉を解いて玉器に入れます。
侍女に玉器をみせられた豊玉姫は、外に誰かいるのか訪ねると、侍女は「わたしたちの王のように尊く立派な方が桂の木の上にいます」と答えました。
それを聞いた豊玉姫は桂の木の山幸彦をみると一目で気に入ります。さらに豊玉姫の父である「綿津見神」も出向き、「この方は天孫の御子だ」と言って丁重にもてなし、すぐに豊玉姫と結婚させます。
そして豊玉姫と山幸彦はで3年間幸せに暮らしました。
ある日、山幸彦は無くした釣り針を探しに来たことを思い出し、綿津見神に伝えます。海神は魚たちを集め、赤鯛の喉に引っかかっていた釣り針を見つけてもらい山幸彦は地上へ戻ります。
地上へ戻った山幸彦は海の神から授かった「鹽盈珠」と「鹽乾珠」を使い、兄の海幸彦は降伏。豊玉姫の夫は王となる資格を獲得します。
出典:豊玉姫と妹の玉依姫「魚屋北渓」
山幸彦(火遠理命)が海幸彦を制し、この世界を統治するようになって間もない頃。
出産間近の豊玉姫は出産のため地上へ向かいます。
再開した火遠理命に、「私は火遠理命の御子を身ごもり、はや臨月を迎えました。しかし、天津神の御子を海原で産むわけにはいきません。そこで、こちらに出向いてまいりました」と伝えます。
それを言い終わった頃に豊玉姫は産気づき、それを見た火遠理命はあわてて海辺にあった鵜の羽を葺草の代わりにした急ごしらえの産屋を作ります。
しかし、葺き終わらないうちに陣痛がはじまり、耐えられなくなった豊玉姫は産屋に入ると「異郷の者は、子を産むときには本来の姿に戻ります。お願いですから産屋の中を見ないでください」火遠理命に伝えます。
最初は我慢していたが好奇心には勝てず産屋の中を覗く火遠理命。するとそこにはトヨタマヒメの姿はなく、八尋和邇(※サメ)が腹をつけて身をくねらせていました。それを見た火遠理命は驚いて逃げ出してしまいます。
豊玉姫は恥ずかしく思い、「これからは海の道を通り多くの臣民とともに、行き来しようと思っていました。けれども、私の姿をのぞきみられてしまったので、もうそれは叶いません」と言い、生まれた子「彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊」を草でつつみ海辺に置き、海坂(海と陸の境)を行き来できないようにふさぎ海宮へと帰っていきます。
その後、豊玉姫は子どもが無事に育っていることを知り、戻って養いたいと願いました。しかし理(ことわり)においてよからずと思い、子どもを養育するために妹の玉依姫を遣わします。
その際に豊玉姫は火遠理命への歌を玉依姫に託します。そしてこの歌を聞いた火遠理命は報歌を歌います。
阿軻娜磨廼 比訶利播阿利登 比鄧播伊珮耐 企弭我譽贈比志 多輔妬勾阿利計利
「紅い玉はそれをつらぬく緒さえ光り輝き美しい。けれども、白い玉のように輝いていたあなたの貴いお姿も忘れられません」
飫企都鄧利 軻茂豆勾志磨爾 和我謂禰志 伊茂播和素邏珥 譽能據鄧馭登母
「鴨の寄り着く島で我が床を共にした愛しい妻を決して忘れぬだろう。我人生ある限り」
出典:「豊玉姫」日本の神々辞典
民話の1つに、竜宮からやってきたみすぼらしい子ども(竜宮童子)が入った家は豊かになり、その子どもが去るとたちまち貧乏になるという話があります。
竜宮というのは豊かさや富の源泉としての他界であり、豊玉姫にもそうした「福神」的な性格が備わっていると考えられます。
また、民族的な水霊信仰とも関係する祈雨の神、あるいは安産守護・産婆乳母、縁結びの神としての信仰もあります。
聖母神であると同時に富と権力、子孫繁栄という性格を備えていることから、福を招いて出世を約束する女神と考えられています。
出典:「お乳岩」鵜戸神宮
宮崎県日南市にある「鵜戸神宮」には古事記には記されていない話が伝わります。
鵜戸神宮には産屋を建てた窟があり、豊玉姫は置いていく乳飲み子のために、自分の乳を窟に貼り付け、自分がいなくても子どもが元気に育つように願いました。
滴り落ちる清水「おちちあめ」を母乳がわりにして、ウガヤフキアエズは育ったとされることから、「おちちいわ」は安産、育児を願う人々の信仰の拠り所とされています。
同社には「亀石」があり、これは豊玉姫が海宮から地上へ移動する時に乗ってきた大きな亀とされます。なんでも豊玉姫が海へ帰っていったのに気付かずに待ち続け、そのまま石になってしまったそうです。
また、日南市風田に川上神社では、海宮から海亀に乗ってやってきた豊玉姫が滞在したという話が伝わることから、昔から海亀を捕ることをしないそうです。
出典:和多都美神社(対馬)
長崎県対馬の豊玉町に鎮座する「和多都美神社」。夫婦神として彦火々出見尊(ヤマサチヒコ)と豊玉姫を祀る神社です。
社伝によると、海神の「豊玉彦尊」が海宮を造り、この地を「夫姫(おとひめ)」と名付けたと記されます。
境内には白蛇の姿となった豊玉姫が登って遊んでいたという松の木や、豊玉姫が身篭られた際に座ったと伝わる「腰掛け石」があります。
夫婦神の出会いに由来する満珠瀬・干珠瀬、磯良恵比須の御神体石などあり、大潮の時期には社殿の近くまで海水が到達することもあるそうです。その光景は龍宮を連想させるのかもしれません。
ちなみに和多都美神社では、松の木や腰掛け石に座ると、お尻が腫れたり腰が抜けるそうです。
西野神社 | 北海道札幌市西区平和1条3-1-1 |
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蛇ケ崎神社 | 岩手県陸前高田市小友町字谷地館164 |
豊玉姫神社 | 山形県鶴岡市羽黒町手向手向32-2 |
豊玉神社 | 宮城県仙台市宮城野区原町3-1-10 |
龍神社(住吉神社末社) | 東京都中央区佃1-1-14 |
富士山神社 | 栃木県宇都宮市今泉町1593 |
木曽三社神社 | 群馬県渋川市北橘町下箱田甲1 |
豊玉姫神社 | 千葉県香取市貝塚117-1 |
豊照稲荷神社 | 新潟県新潟市中央区東湊町通2545 |
多久比禮志神社 | 富山県富山市塩690 |
片姫神社 | 珠洲市三崎町森腰ウ122 |
若狭姫神社(若狭彦神社 下社) | 福井県小浜市遠敷65-41 |
山中諏訪神社 | 山梨県南都留郡山中湖村山中御所13 |
沙田神社 | 長野県松本市島立三ノ宮3316 |
南宮御旅神社 | 岐阜県不破郡垂井町府中2506 |
関蝉丸神社(下社) | 滋賀県大津市逢坂1-15-6 |
豊玉神社 | 和歌山県有田郡有田川町大谷 |
住吉大社 | 大阪府大阪市住吉区住吉2丁目 9-89 |
與杼神社 | 京都府京都市伏見区淀本町167 |
白兎神社 | 鳥取県鳥取市白兎603 |
海童神社 | 島根県出雲市島村町701 |
龍王神社 | 山口県下関市大字吉見下1726 |
豊玉比賣神社 | 徳島県徳島市眉山町大滝山1-2 |
高忍日売神社 | 愛媛県伊予郡松前町徳丸387 |
和布刈神社 | 福岡県北九州市門司区門司3492 |
宮内豊玉姫神社 | 熊本県荒尾市宮内212−5 |
健男霜凝日子神社 | 大分県竹田市神原2447 |
與賀神社 | 佐賀県佐賀市与賀町2-50 |
豊玉姫神社 | 佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙2231-2 |
和多都美神社 | 長崎県対馬市豊玉町仁位和宮55 |
海神神社 | 長崎県対馬市峰町木坂247 |
鵜戸神宮 | 宮崎県日南市大字宮浦3232 |
鹿児島神宮 | 鹿児島県霧島市隼人町内2496−1 |
豊玉姫神社 | 鹿児島県南九州市知覧町郡16510 |
益救神社 | 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦277 |
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