天之菩卑能命(Art Mochida Daisuke)
アマテラス大神とスサノオ尊が誓約(うけひ)のときに、大神の身に付けていた勾玉から生まれた神さま。神名のホは秀・穂、ヒは火を意味し、「生命力が火のように燃え盛る秀でた稲穂」を表しています。国譲り神話で大国主との最初の交渉役として降りますが、心服して地上に住み着き、そのまま出雲国造及び土師氏らの祖神となったとされます。
古事記 |
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天之菩卑能命 |
日本書紀 |
天穂日命 |
別称 |
天菩比神 |
稲穂の神 | 農業神 | 養蚕の神 |
木綿の神 | 産業の神 |
学問上達 | 受験合格 | 縁結び |
農業・養蚕守護 | 国土開発 | 産業振興 |
商売繁盛 | 金運招福 |
産み神 |
天照大御神(アマテラス) |
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妻神 | 天甕津日女神 |
兄弟神 |
天之忍穂耳命(アメノオシホミミ) |
子神 |
建比良鳥命 |
出典:天穂日命像「77gallery」
天穂日命(アメノホヒ)は出雲国(島根県)と非常に縁が深く、とくにその出雲に関わる部分でこの神様には、二つの異なった姿が伝えられているのが大きな特徴です。
『古事記』の国譲り神話は、出雲国の支配者オオクニヌシ神が高天原の天神に支配権を譲り渡すまでの経緯を、様々なエピソードとともに述べた物語です。
ストーリーは高天原の最高司令神アマテラス大神が、オオクニヌシ命に譲渡を迫る交渉役として、次々に使者の神様を地上に派遣するという形で展開します。
その最初の使者として登場するのがアメノホヒ命です。
地上に降ったアメノホヒ命は、オオクニヌシ神を説得するうちに「あなたの言うこともわかる」とすっかり心服。自らの使命を忘れて地上に住み、3年経っても高天原にはなんの報告もせず、その役目を失敗します。
後に他の使者たちが地上の平定に成功すると、そのままオオクニヌシ神に仕え、アメノホヒ命とその子の建比良鳥命は出雲国造及び、土師氏らの祖神となったとされます。
『古事記』に記されているこんな姿から、アメノホヒ命は役目をサボタージュする意志薄弱の不忠義者のイメージが漂ってきますが、もう一つ別の姿もあります。
アメノホヒ命は、出雲国の有力豪族の出雲氏の祖神です。
出雲氏は古代に出雲東部を本拠地とした一族で、大和朝廷に服属してからは出雲臣(いずものおみ)と呼ばれ、代々出雲国造(いずものくにのみやつこ)を務めて出雲地方で勢力をふるっていました。
出雲氏に関係する『出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかんよごと)』には、この神がアマテラス大神から地上の悪神を鎮めることを命じられたことが記されます。
『出雲国造神賀詞』とは、出雲氏が国造に任命されて朝廷に挨拶に参上して、臣従の意思を証明するときに述べる誓いの言葉です。賀詞(よごと)というのは、本来、有力な神霊に服従した精霊が、服従を誓って祝福を述べる祝詞(のりと)のことです。
それによると、国譲りのとき地上に派遣されたアメノホヒ命は、地上を駆け巡ってその様子をアマテラス大神に報告。さらに、自分の息子のアメノヒナドリ命と剣神フツヌシ命を派遣して、みごとに地上の乱れを平定します。
こちらでは使命を果たし、地上世界を平定した偉大な神であることが強調されています。
この出雲国造神賀詞はアメノホヒの子孫である出雲国造が書いたもの。祖先の功績を強調するの当然のことですが、記・紀に登場するアメノホヒの姿とまったく異なるのは面白いですね。
一般に各地方の豪族の祖神とされる神様は、その地の国土開発・産業振興の神としての性格をもち、さらに人々の生活全般の守護神として信仰されていることが多いです。
この神様も同様で、今日でも農業・養蚕・木綿の神様として、出雲という地方的な枠から飛び出して各地に祀られています。
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