出典:天照大神(Art Mochida Daisuke)
古事記において「天照大御神」、日本書紀では「天照大神」と表記される日本の総氏神。女神で記紀には太陽神や巫女の性格を併せ持つ存在として描かれています。光、慈愛、真実などを象徴する、最も尊い神さまです。スサノオ尊、ツキヨミ尊と共に三貴子の1人。神徳も万能で様々なご利益があります。
古事記 |
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天照大御神 |
日本書紀 |
天照大神 |
別称 |
大日孁貴神(おおひるめのむちのかみ) |
太陽神 | 高天原主神 | 皇祖神 |
総氏神 | 幡織神 | 農業神 |
開運隆盛 | 勝運 | 健康祈願 |
子孫繁栄 | 合格 | 出世 |
五穀豊穣 | 国土安泰 | 国家安泰 |
所願成就 | 魔除け | 厄除け |
天照大御神は、イザナギ命が日向の海で禊をした際に、左目をすすいだときに生まれた神さまです。「天照」は文字通り”天に照り輝く太陽”を意味しており、その名が表すように太陽神です。
美しい「日の神」の誕生を大いに喜んだイザナギ命は、自分の首に掛けていた玉飾りを天照大御神にかけ「高天原を治めなさい」と命じます。
こうして天照大御神は高天原に住み、そこで田畑を耕し、養蚕を興して絹糸の生産法や織物の技術を授け高天原を統治します。
古代の日本人は、単に太陽そのものを神として崇拝するだけでなく、「日の神」に民族の祖神というイメージを重ねました。そこから天照大御神は皇室の祖神とされ、日本人の総氏神として祀られます。
天照大神は別称で「お伊勢さま」と呼ばれます。そしてこの神霊を分配して祀る神社のことを神明社といい、そこから「神明さま」という呼ばれ方もされるようになりました。
昔はどこの家でも神棚に伊勢神宮の御札が祀られ、晴れの日には「天照坐皇御神」の掛け軸がかけられていました。古くから日本人の生活の中に深く浸透している神さまです。
出典:岩戸神楽之起顕「春斎年昌」
天照大御神が太陽神であることを象徴するのが有名な天岩戸神話です。
高天原におけるスサノオ尊の乱暴狼藉に怒った天照大御神は天岩戸に隠れてしまいます。すると世の中は闇に覆われ、世界中でさまざまな災厄が生じました。
困った他の神さまたちは天岩戸の前にさまざまお供え物を用意し、みんなで踊ったり騒いだり大笑いして天照大御神の関心を誘います。
騒ぎに興味をもった天照大御神は天岩戸から出てくると、世界に光が満ち溢れ、悪霊も鎮まり一切の災いも消え去りました。
太陽を失うと地上すべての生命が衰退していき、太陽が現れることですべての生命が復活するというのがこの神話の重要なテーマとなっています。
古代の人々は、太陽の力が弱まる冬至を、太陽がいったん死んでまた蘇る日と考えていました。こうした太陽信仰は世界各地にあり、その時期に人々は太陽の復活を願い神祭りを行ったとされます。
それは太陽の「死と再生」の儀式であり、死んだ太陽が再び蘇ることでエネルギーを強め、来年もまた穀物を豊かに実らせてくれるようにと太陽神を祀るもの。
天岩戸神話はそうした農耕儀礼が反映されているのでしょう。
また、日(太陽)は稲作とも深く関係しており、天照大御神と稲の密接なつながりも神話で語られています。
例えば五穀起源神話ではツクヨミ命に殺された食物神(ウケモチ神)から生じた稲を高天原の田に植えて稲種とし、天孫降臨では地上に遣わした孫神(ニニギ尊)に稲種をもたせています。
出典:天照大神(Art Mochida Daisuke)
女神とされる天照大御神ですが、一方で力強い男性的な性格も秘めています。『古事記』にはそれを象徴するお話があります。
地上から乱暴者のスサノオ尊が高天原の天照大御神を訪ねてきた時、天照大御神は「高天原の支配権を奪い来たのでは・・」と警戒し、すぐさま武装します。
髪を角髪(みずら)という男性のヘアスタイルに結い直し、1,000本の矢が入る靫を背負い、500本の矢が入る靫を腹に抱え、強弓を手にしてスサノオ尊を待ちます。
対峙すると相撲の四股を踏むようにして両足を大地にめり込ませ、地面を蹴散らしスサノオ尊を威嚇します。
この勇ましい姿はまさしく男性の武神そのもので、古代における武力や軍事力の象徴にほかなりません。こういった性格から国土平安の守護神としても信仰されています。
このように天照大御神は太陽神としての性格に加え、武力・軍事力に象徴される力も兼ね備えています。それがあまたの男性神を押しのけて日本の総氏神として八百万の神の最高位に君臨しているのでしょう。
出典:武装する天照大神「東逸子」
一般的に女神とされる天照大御神ですが、男神だという説もあります。
例えば「天照大御神は男神であったが、持統天皇の代に都合よく女性にされた」や「神社の儀式に用いられる装束一式が男性用の衣装だった」などです。また、京都祇園祭の岩戸山の御神体に描かれる天照大神も男性の姿です。
記紀に描かれる天照大御神はスサノオ尊が「姉」と呼んでおり、対峙した際は戦いに備えて、髪をみずら(男性の髪型)にします。また女性が行う機織も行い、スサノオ尊の蛮行に怒って岩戸に隠れるとなど女性らしさを表しています。
天照大御神の性別を議論する前に、そもそも「天照」は太陽を象徴とする神さまです。太陽そのものに性別なんてありません。
表現する側の意思やイメージによって性別が表現されますが、神話に描かれる姿、天皇家、伊勢神宮でも女神と認識されていることから女神が一般的な見解とされます。
生み神 | 伊耶那岐命(いざなぎのみこと) |
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弟神 | 素戔嗚命(すさのおのみこと) |
弟神 | 月読命(つくよみのみこと) |
孫神 | 瓊瓊杵命(ににぎのみこと) |
スサノオの十拳剣より生まれた神 |
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多紀理毘売命 多岐都比売命 市寸島比売命 |
アマテラスの「八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠」から生まれた神 |
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