アラハバキ(荒覇吐)描かれる姿と伝承

アラハバキ

出典:遮光器土偶(日本の神々辞典)

アラハバキとは?

遮光器土偶でイメージされる神さま。アラハバキは、東北地方から関東地方、東海地方まで広いエリアで信仰されますが、記紀神話や伝統的な民話などに一切登場しません。出雲大社や伊勢神宮など、重要な神社の末社などに「隠れ神」として、また、関東から東北の神社では客人神まろうどがみとして祀られています。土着神(地主神)、塞の神、製鉄の神、蛇神と、諸説入り乱れる謎の多い神です。

 

 

名称

荒覇吐 荒脛巾 荒吐
阿良波々岐 荒波々幾大神 あらばきさま
門客人神

神格

製鉄の神 脛の神 塞の神
客人神 旅人の神 足の神
蛇神 竜神 出雲の祖神

 

神徳・ご利益

足の健康 旅の安全 病気平癒
金運財運 性病・婦人病

アラハバキは、主に「ハバキ」は脛巾、外出や遠出する際に脛にに巻きつける布のことから、足腰に関するご利益があるとされます。古代製鉄の神であることから、金運・財運のご利益。塞の神(道祖神)としての性格も有するため、交通安全・旅の安全のご神徳も。

 

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アラハバキはどんな神様?由来と伝承

古代アラビア語で「アラハバキ」は「最高の神」を意味し、南アラビアのヤマン地方が発祥とされ、インド・中国を経由して日本に伝わったとされます。

 

記紀以前から信仰されていた古き神と考えられており、縄文時代の終わりから弥生時代の始め頃に渡来したと言われます。

 

古代出雲の神とされ、豊穣や生命の象徴として信仰されてきました。

 

塞の神としてのアラハバキ

宮城県の多賀城は、朝廷が東北地方に住んでいた蝦夷を制圧するために築いた拠点で、「塞の神」としての性格があることから荒脛巾神を祀ったとされます。

 

「蝦夷をもって蝦夷を制す」という統治政策から、もともと蝦夷の神だったアラハバキを多賀城を守るための塞の神として祀り、蝦夷を撃退しようとしたとされる。

 

門神は外部からの悪霊や邪霊の侵入を防ぐ神、つまり塞の神と同一視されます。

 

アラハバキと製鉄

アラハバキを祀る神社には鋏が奉納されます(多賀城の荒脛巾神社の灯籠は鋳鉄製)。他のアラハバキ神社も付近が砂金や砂鉄の産地が多いことから「製鉄の神」ともされます。

 

朝廷側から「まつろわぬ民」とされた蝦夷は、「火」を使い「鉄」を造る技術や文化のある民族。東北のアラハバキ神社の御神体は殆どが鉄鉱石。岩木山神社もアラハバキを祀っていますが御神体は黒い鉄です。

 

また、氷川神社の周辺は「産鉄地」であり、考古学では古代の埼玉県は「鉄鋼」の大産地だったそうです。

 

アラハバキから変化した「客人神まろうどがみは片目で表現されることが多く、天目一箇神アメノマヒトツノカミなどの「製鉄の神」に見られる特徴と類似していることから、アラハバキと製鉄は深く関わっているようです。

 

蛇神・龍神

アラハバキという名前が蛇神を表しているということから蛇神であると見られます。

 

蛇の古語は「ハハ」であり、「ハハキ」は「蛇木・竜木」を指し、アラハバキを祭る神社では、直立する樹木を蛇に見立て、祭事の中枢であったとされます。

 

伊勢神宮に「矢乃波波木神やのははきのかみ」という箒神ほうきがみが祀られています。「ホウキ」は「ハハキ」が転じたもので、蛇とのかかわりが深い箒神は蛇神であるといわれています。

 

波波木神があらわれることで顕波波木神(アラハバキ)となることから、アラハバキは蛇神という説です。

 

一見、語呂合わせに見えますが、古来、日本では古くから蛇を神として祀る歴史もあり、アラハバキもこうした背景から、蛇神と同一の神だと説かれています。

 

アラハバキは女神?

「アラハバキ」はアイヌの古語で女陰の意味があり、クナト(男根)と一対の夫婦神とされます。また、アラハバキの容姿を表す遮光器土偶も、乳房や臀部など女性を強調しています。

 

さらに出雲の富氏の伝承によると、出雲神族の祖神は「クナト」と「アラハバキ」とされ、体制側によって粛清されようとしたとき、クナトは地蔵に、アラハバキは弁財天へと形を変えて残されたと伝わります。

 

アイヌの古語で女性器、女型の土偶、弁財天への変化。これらからアラハバキは女神と解釈されます。

アラハバキの容姿はなぜ「土偶」なのか?

つがる市から出土した遮光器土偶に重ねられた

アラハバキに土偶というイメージが定着したのは『東日流外三郡誌つがるそとさんぐんし』という古史古伝によるものです。

 

古代における日本の東北地方、特に現在の青森県、岩手県、秋田県の知られざる歴史が記されていました。

 

これによると、アラハバキ族という者たちが北東北部に住んでおり、津軽地方を統一していたとされます。その祭神がアラハバキ。

 

『東日流外三郡誌』にはアラハバキを「荒羽吐」または「荒覇吐」と記し、描かれている容姿は、つがる市から出土した遮光器土偶と同じ姿をしていました。これにより、アラハバキのビジュアルイメージが遮光器土偶であるという印象を世に広めました。

 

しかし、書物の誤字が発見者のものと同じであったり、時代と文法が異なっているなどの点から学界では偽作(偽書)説が確実視されます。

 

この『東日流外三郡誌』が世に出た1970年代は、超古代史やUFOブームなどのいわゆる「オカルトブーム」で土偶宇宙人説が話題になった時代。見た目のインパクトも相まって、アラハバキ=遮光器土偶のイメージが定着したと考えられます。

氷川神社とアラハバキ神の関係

大宮氷川神社 門客人神社

大宮氷川神社 門客人神社

 

さいたま市大宮区の氷川神社には、主祭神として須佐之男命稲田姫命大己貴命と出雲の神が祀られます。

 

本殿脇には摂社「門客人神社」には、客人神として稲田姫命の親神である「足摩乳命あしなづちのみこと」と「手摩乳命てなづちのみこと」が祀られますが、『新編武蔵風土記稿』によると、ここは本来「荒脛巾あらはばき神社」でアラハバキが祀られていたとされます。

 

客人神とは、もともとその土地で祀られていた神が、後からやってきた神に地位を奪われ主客が逆転、客神として祀られるようになったもの。要するに乗っ取られた状態です。

 

氷川神社の近くには見沼という沼地があります。古くからアラハバキ神は見沼の水神とされており、この地域では見沼の水の神に対する信仰がありました。

 

アラハバキ神を祀る荒脛巾神社は、この地の先住民たちが信仰していた「水神」を祀る神社だったのでしょう。

 

氷川神社は、第十三代成務天皇の御代に、出雲族の兄多毛比命えたもひのみことが朝廷の命により武蔵国造となって奉崇した神社。

 

出雲族によって、神社名と共に主祭神であったアラハバキから、出雲の神にすり替えられたのではないかと考えられます。

 

それまでの信仰もあることから排除できず、客人神として残る形になったのでしょう。今では客人神からも消されているのが残念です。

 

大和朝廷は支配を確立するために、縄文時代から信仰が続く古い神の存在を封印したと考えれます。体制側によって隠された神は複数いますが、アラハバキ神もその一柱なのでしょう。

アラハバキを祀る神社

金吾龍神社(奥宮) 北海道小樽市 蘭島1丁目21-24
松尾神社 青森県青森市松森1-7-4
アラハバキ神社 青森県五所川原市相内露草190
金峰神社 秋田県横手市雄物川町大沢字上法寺37
丹内山神社 岩手県花巻市東和町谷内2区303
荒脛巾神社 宮城県多賀城市市川伊保石44
荒鎺神社 福島県会津若松市町北町大字中沢平沢
客人神社 栃木県下都賀郡大平町下皆川
愛宕神社 東京都西多摩郡奥多摩町氷川830
アラハバキ神祠 神奈川県横浜市栄区公田町527-14
中山神社(荒脛神社) 埼玉県さいたま市見沼区中川143
廣田神社(摂社) 兵庫県西宮市大社町7-7
荒羽々気神社 愛知県豊川市上長山町本宮下
客王神社 松山市下伊台町1127
波波伎神社 鳥取県倉吉市福庭654
客人神社 長崎県南松浦郡南松浦郡新上五島町網上郷370

 

アラハバキ神社

二宮神社境内の荒波々伎神社

荒波々伎神社の絵馬

草鞋が奉納されている

 

東京あきる野市に鎮座する二宮神社。その境内に荒波々伎神社があります。草鞋に模した奉納品から足腰にご神徳があるようです。

 

とりわけ東北地方には、アラハバキを祀る神社が多く見られます。宮城県多賀城市には、「足」を守ってくれる神さま「おきゃくさん」で有名な荒脛神社があります。参拝者から脚絆等が奉げられていますが、下半身全般をも癒すとされ、男根像も奉げられています。

 

関東を含めた西の地域では、神社の門に祀られる「門客神」として祀ることが多く、神社の門に、衣冠束帯いかんそくたい姿で脛巾はばきをつけた二体の随神を祭り、これをあらはばき(荒脛巾)と称しているところもあります。

 

宮城県多賀城市に鎮座する荒脛神社では「足の神様」として祀られています。脛というのは脛巾裳はばきもの略で、旅人がすねに巻きつける布のことです。いわば後世の脚絆きゃはんにあたるもの。旅人が達者に歩けますようにと祈願されています。

 

地元の人達によれば現在は足に限らず、腰から下の病にも効験があるとされています。実際に奉納されているものを見ると、これらの状況がよくわかります。本殿には明治三十二年と書かれた道祖神の額がかかっており、旅の安全と健康を祈願していると見られます。昔は藁や縄で作った脛巾や、布で作った脚絆を供えて祈願されていたようです。

 

加えて木製の男根や女陰も多く供えられており、これは性病・婦人病の平癒を祈ったものらしく、現在でも花柳界の女性がお参りしているそうです。また、ハサミも供えられており、これは病の根を切るという信仰からとされます。病気が治るようにと木や布で患部をかたどったものを供えて祈願することは全国各地で見られる風習です。

 

荒脛神社から近い荒祖権現社でも脛巾を供えることから、こちらも足の神様であると考えられます。

 

また、岡山県阿哲群大佐町の上刑部地方(現在の新見市)では、足の病を治す神を、「足王様」と呼んでいます。社や祠はありませんが、杖に草鞋の片方を結びつけて道端に立てておくと、誰かが足王様のところへ持っていき、供えてくれると信じられているそうです。

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