木花咲耶姫(Art Mochida Daisuke)
「桜」の美しさとやがて散る儚さを象徴する美しい女神。『竹取物語』の主人公「かぐや姫」のモデルともされます。山の神オオヤマツミ神の娘で、アマテラス大神の孫ニニギ尊と結婚。子授け安産、農業や漁業のご利益があり、酒造業の守護神としても信仰されます。
古事記 |
本名:神阿多都比売 |
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日本書紀 |
本名:神吾田津姫 |
播磨国風土記 | 許乃波奈佐久夜比売命 |
別称 |
木花咲弥姫命 |
山の神 | 火の神 | 酒造の神 |
子授け | 安産 | 航海安全 |
縁結び | 農業守護 | 漁業守護 |
織物業守護 | 酒造業守護 | 火難消除 |
父神 | 大山津見神(おおやまづみのかみ) |
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母神 | 鹿屋野比売神(かやのひめのかみ) |
姉神 | 磐長姫命(いわながひめのみこと) |
夫神 | 瓊瓊杵命(ににぎのみこと) |
子神 |
火照命(ほでりのみこと※海幸彦) |
木花咲耶姫の真言・祝詞
かけまくも あやに かしこき
ふじのあさまのおおかみ の おおまえに
かしこみ かしこみ も もうさく
きよきこころの まことをさきとし かみよののりをあがめ
まさにすなおのもともとに かえりよりし
よこしまの すえののり を すてて
いまかみの みちの たえなるわざを きがんたてまつり
たたえごとをえ たてまつる このさまを
たいらけく やすらけく きこしめして
いまも ゆくさきも おおかみ の ひろき あつき
みたまのふゆ を かがふらしめ
よのまもり ひのまもり に まもり さきわえたまへ と
かしこみ かしこみ も まをす
引用:藤原北家世尊寺流 神心書道「木花咲耶姫命の祝詞」
出典:千葉県立美術館『木華開耶姫』
『古事記』によると、高天原から降臨した天孫ニニギ尊が吾田の笠沙を歩いているとき、水くみにきていたコノハナサクヤヒメ命に出会います。コノハナサクヤヒメの美しさに一目惚れしたニニギ尊は結婚を申し込みます。
コノハナサクヤヒメ命の父神であるオオヤマズミ神は大いに歓び、姉のイワナガヒメ命を一緒に献上します。しかし、イワナガヒメ命は醜い容姿だったため嫌われて返されます。
オオヤマツミ神は「娘二人を一緒に差し出したのは、姉は天神の子が命が雪が降り風が吹いても石のごとく永久であることを願い、妹は木の花が咲き満ちるごとく栄えるようにと占って決めたからです。姉が返されたことで天神の子の寿命は、木の花が散るようにはかなくなるでしょう」と嘆きます。
このことから長久だった寿命が限りあるものとなったとされます。
炎の中で子を産む木花咲耶姫
ニニギ尊と結婚したコノハナサクヤヒメ命は一夜で妊娠します。ところが夫のニニギは「一夜で身ごもるのはおかしい。自分の子ではないだろう」と疑いをかけます。
それに憤慨したコノハナサクヤヒメ命は、疑いを晴らすべく産屋に入ると出入口を塞ぎ「あなたの子でなければ子供はここで死に、あなたの子ならば無事に生まれるでしょう」と言って自ら火を放ちます。
火が勢いよく燃え盛っている時に生まれたのが火照命(ホデリノミコト※海幸彦)、火が衰えたぐらいに火須勢理命(ホスセリのミコト)が、火が静まる頃に火遠理命(ホオリノミコト※山幸彦)を出産。夫の疑いを晴らします。
美しさゆえに疑われ、人を引き付ける魅力は時に嫉妬や疑念の対象とされます。惹きつけた魅力に対して見返りが求められ、見返りを与えなければ人は裏切られたと落胆します。
努力による美しさと違い、生まれ持った美しさは様々な試練が待ち受けます。一見華やかに見える人生も本人しかわからない苦労があります。まさに美人薄命は木花咲耶姫を表すのみ言葉といえるでしょう。
コノハサクヤビメは天孫のみならず鬼にも求婚されるほど美しい女性だったそうです。
ニニギ尊と出会う前、コノハナサクヤヒメの美しさに惹かれていた鬼がいました。鬼はコノハナサクヤヒメを嫁にしてくれと父神のオオヤマツミ神に申し込みます。
オオヤマツミ神は断りきれず「一夜で岩の御殿を造れたらコノハナサクヤヒメ命をやろう」と答えます。鬼は喜んで一晩中働き、鬼の岩屋と呼ばれる古墳を造り上げました。一晩中働き続けた鬼はその疲れからうたた寝を始めます。
そこにオオヤマツミ神が現れ、岩屋の石を一つ抜いて遠くに放り投げました。しばらくして鬼が目を覚ますとオオヤマツミ神は「この岩屋は石が一つ足らない」と言ってコノハナサクヤヒメをあずけませんでした。
ちょっと可愛そうですが、鬼をここまでさせる木花咲耶姫の魅力は相当だったんでしょうね。
ちなみにオオヤマツミ神が投げた岩は西都原古墳群のふもとにある石貫であるとされ、後にオオヤマツミ神が祀られ石貫神社とされています。
「金運」を強力に引き上げる護符
コノハナサクヤヒメ命と父神はオオヤマツミ神は共に酒造の神として信仰されています。
宮崎県西都市の「都萬神社」では、コノハナサクヤヒメ命は生まれた赤ちゃんにお乳代わりとして「甘酒」を作って飲ませたとされ、日本酒発祥の碑が立っています。
また、父神のオオヤマツミ神はコノハナサクヤヒメ命が天孫の子を産んだ時に、卜占によって稲田を選び、その田で収穫した神聖な米でオオヤマツミ神が酒を醸造し、三人の御子の誕生を祝ったとされます。
このことからオオヤマツミは酒解神(さけとこのかみ)、コノハナサクヤヒメ命を酒解子神(さけとけのこのかみ)と呼び、酒の守護神として信仰されるようになります。
山は清らかな水の源であり、さらに穀霊神であるニニギ尊の子を生むことは、いい米を作ることに他ならない。そういったイメージが酒造の信仰につながったとされます。
出典:木花咲耶姫「Art Mochida Daisuke」
木花咲耶姫を守護神の人は、日本全国で1000人程度とされます。
木花咲耶姫を守護神に持つ人は際立った個性と美しさがあらわれるようです。美しさは容姿などの外見に限りません。後ろ姿や、たたずまいがやけに人の目を惹いたり、ふとした時にみせる表情など、部分的に他の誰にも重ならない独自の魅力を持っています。
有名人では、沢尻エリカさん・松嶋菜々子さん・中島みゆきさん・浅田真央さん・今井美樹さん・山口百恵さんは木花咲耶姫を守護神としているそうです。みなさん個性的で魅力のあふれる方ばかりですね。
木花咲耶姫を守護神とする方の特徴は、自主性が強く、1人だけの時間や空間を好みます。アイデアを生み出す企画力があり、洞察力にも優れ、時代を先取りする力もあります。反面、マイペースの我が道を行くタイプで、自分のリズムを乱されるのが苦手。言葉が足らず誤解されることも多いようです。
また、女性的なエネルギーを強く発しているのも木花咲耶姫を守護神にもつ人の特徴です。特別自分から恋愛を求めているわけでもないのに、男性からアプローチをたびたびうけているという方は、もしかしたら木花咲耶姫が守護神なのかもしれませんね。
日本に約1000人いるとされる木花咲耶姫が守護神の人。あなたがその1人かもしれませんね。
出典:さきたま火祭り(行田市役所)
埼玉県行田市の県営さきたま古墳公園では、毎年5月4日に浅間神社(前玉神社)でおこされた火を用いた「さきたま火祭り」が行われます。コノハナサクヤ命が燃え盛る産屋で出産したその故事に倣い、藁や竹で作られた高さ6メートルの産屋に火を放ち燃え上がらせます。
生まれた御子の誕生を祝うように稲荷山と丸墓山の頂から御神火の列が降ります。ヲワケの臣を先頭に300有余名の従者が持つたいまつの炎は、山の斜面を流れる溶岩のごとく一本の火の帯を演出します。
国宝に指定された「金錯銘鉄剣」が出土された古墳群という場所もあり、神話の世界に浸れるお祭りです。
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木花咲耶姫を祀る神社をまとめました。神社名から参考ページ(外部サイト)に移動します。
熊野大社(大宮子易神社) | 山形県南陽市宮内3476-1 |
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浅間神社 | 山形県東根市大字羽入731 |
大天魄神社 | 山形県鶴岡市温海字釜谷坂28 |
北口本宮 冨士浅間神社 | 山梨県富士吉田市上吉田5558 |
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甲斐國一宮 浅間神社 | 山梨県笛吹市一宮町一ノ宮1684 |
田原神社 | 山梨県都留市上谷4-2-1 |
猿田彦大本宮 椿大神社 | 三重県鈴鹿市山本町1871 |
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花岡神社 | 三重県松阪市大黒田町753 |
松尾神社 | 三重県松阪市立野町786 |
縣神社 | 京都府宇治市宇治蓮華72 |
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わら天神宮 敷地神社 | 京都市北区衣笠天神森町10 |
梅宮大社 | 京都府京都市右京区梅津フケノ川町30 |
木村神社(船越八幡神社内) | 香川県三豊市詫間町大浜1638 |
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大川神社 | 香川県仲多度郡まんのう町中通字野口1150番地 |
高屋神社 | 香川県観音寺市高屋町2800 |
子育神社(新宮神社内) | 高知県南国市十市5937 |
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朝峯神社 | 高知県高知市介良乙1927 |
兒安花神社(高岡神社内) | 高知県高岡郡四万十町仕出原 |
熊野神社(大興善寺境内) | 佐賀県三養基郡基山町園部3628 |
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太良獄神社 | 佐賀県藤津郡太良町多良8378 |
木花咲耶姫神社 | 佐賀県三養基郡基山町園部4683 |
平川淀姫神社(湯舟矢護神社) | 熊本県菊池郡旭志村麓湯舟2-526 |
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老神神社 | 熊本県人吉市老神町94 |
栗木六大神社 | 熊本県八代市泉町栗木2421 |
琉球神社 | 沖縄県国頭郡国頭村比地781-1 比地キャンプ場内 |
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その他全国の浅間神社・子安神社・山神社など
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