出典:大山津見神(Art Mochida Daisuke)
日本の山の神の総元締としてしられる神。木花咲耶姫や磐長姫を娘に持ちます。神徳は農業、漁業、工業、商工業などの諸産業から、酒造などの文化的な領域まで幅広く、海の神、酒造の神としての神格も備える力の強い神さまです。
古事記 |
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大山津見神(おおやまづみのかみ) |
日本書紀 |
大山祇神(おおやまづみのかみ) |
別称 |
和多志大神(わたしのおおかみ) |
山の神 | 海の神 | 酒の神 |
軍神 | 武神 |
商売繁昌 | 試験合格 | 家庭平安 |
安産 | 厄除け | 農産業種 |
山林業種 | 鉱山業守護 | 漁業守護 |
航海守護 | 商工業守護 | 酒造業守護 |
生み神 | イザナギ命・イザナミ命 |
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妻神 | 鹿屋野比売神(野椎神) |
子神 |
コノハナサクヤヒメ命 |
出典:大山津見神「日本の神々辞典」
オオヤマツミ神は日本の山の神の総元締としてしられる神さまです。
民俗信仰の山の神はその周辺に暮らす人々の祖霊であり、農業を生業としていれば田の神のような穀霊。そして、山の民にとっては木地や炭焼、鉱山や鍛冶の神さまとされています。
日本の山の神の総元締といわれるだけあり、神徳も農業、漁業、工業、商工業などの諸産業から、酒造などの文化的な領域まで幅広く及んでいます。
山に穴を開けたり削ったりする作業や、谷を塞いでダムを作る際に、山の神の精霊の怒りを鎮めるため守護神としてオオヤマツミ神を祀っていることが多い。
オオヤマツミ神は別名「ワタシ大神」とも言われ、海の神の性格も持ちます。ワタはワタツミ神(海神)のワタ(うみ)のこと、シは司(つかさどる)ことを意味していることから、海を支配する神とも言われます。
オオヤマツミ神を祀る神社の本拠地は、愛媛県大三島町の大山祇神社です。
大三島は瀬戸内海の芸予諸島の中心で、芸予海峡(広島県と愛媛県の間)は、古くから西日本と近畿を結ぶ水運交通の要でした。
そのため、海の神としての崇敬が高く、瀬戸内水軍の守護神として、また武門の守護神として崇敬されました。
出典:大山津見神「タガマヤ村」
大三島の大山祇神社は、日本を守る日本総鎮守として、大日本帝国海軍、海上自衛隊、海上保安庁など国防に携わる人々から崇敬が篤いことで有名です。
オオヤマツミ神を祀る神社の一つである大山阿夫利神社(神奈川県伊勢原市)にはこんな話があります。
第二次世界大戦時、欧米人は戦場における日本兵の向こう見ずにも似た捨て身の強さに驚嘆せざるを得ませんでした。これにGHQ(連合国軍総司令部)は国家神道こそ狂信的な戦闘に駆り立てる魔術の種に違いないと判断しました。
1945年(昭和20年)12月15日に、国家と神道を分ける「神道指令」を発令。翌年1946年の元日には天皇が「人間宣言」を行い、国家神道の解体が進められました。
一方、神社の扱いについては不透明で「神社も潰される」と覚悟した関係者も少なくありませんでしたが、神社を存続させるため、ある宗教学者の働きかけで宗教課長のウィリアム・バンス少佐らGHQのスタッフを大山阿夫利神社に招きました。
本殿で子どもたちが舞う「みこ舞」を披露し、昼食は刺し身や酢の物といった和食にお神酒が振舞われ、その中で神社本来の意味や由来を説明しました。
さらに、神仏分離以前は修験道の色が濃い大山は、山登りは行楽で、みこ舞は民衆芸能。「とても戦争の原因」とは思えないと判断されたことから神社は守られました。
このことから、大山阿夫利神社の祭神であるオオヤマツミ神は重要なものを守る神としても崇敬されています。
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オオヤマツミ神の娘「コノハナサクヤヒメ命」が天孫「ニニギ尊」と結婚して、「ヒコホホデ命」を生んときにオオヤマツミ神は大いに喜んで侠奈田の茂穂(よく実った米)お酒(アメノタムケ酒)を作って、神々に振る舞います。
この故事が酒造のはじめと伝えられていることから、酒造の祖神『酒解神』として信仰されています。
山の神は豊作の神であり、その穀物からつくられる酒の精霊は山の神の分身ということになる。そこから穀物から酒を醸造した始まりとされる神話が生まれたのでしょう。
酒造業の守護神としてオオヤマツミ神は「酒解神」、娘のコノハナサクヤヒメ命は「酒解子神」と呼ばれています。
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